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歯の豆知識

フッ素の効果について

歯科衛生士の佐藤です。

今回はフッ素の効果についてお話したいと思います。フッ素がむし歯予防に大きな効果があることはよく聞いたことがあるかと思いますし、実際に当医院でも多くの方に高濃度フッ素を塗布する処置を行っています。しかし、フッ素の効果は目に見えないものですので、“本当に効果があるのかな‥”と思われている方もいらっしゃるかと思います。そこで今回は、夏休み期間ということもあり、実験形式でフッ素の効果についてお話できたらと思います。

【フッ素の効果とは】

まずはじめにフッ素の効果は大きく分けて3つあるといわれています。

エナメル質の修復の促進

酸により歯から溶け出したカルシウムやリンを補うこと(再石灰化)を促します。

歯の質の強化

歯の表面を覆うエナメル質を、酸に溶けにくい性質に変え、むし歯の抵抗力を高めます。

菌の働きを弱める

むし歯を引き起こす細菌の働きを弱め、酸がつくられることを抑制します。

【フッ素の効果を調べよう♪】

それでは、早速フッ素の効果について調べてみましょう!用意したのはお酢、卵、フッ素(フルオール・ゼリー9000ppmF)です。お酢と卵は長岡市内のスーパーで購入したごく普通のものです。

?:なぜお酢と卵を使用するのか

私たちが食事をすると、食べ物そのものの酸やお口の中の細菌が食べ物を分解しようと出す酸によりお口の中は酸性になります。その酸性の状態を再現するため、酸味の強いお酢を代用しました。そして、歯の表面(エナメル質)の主成分はハイドロキシアパタイトといわれるリン酸カルシウムの一種で、卵の表面()は、炭酸カルシウムが主成分で構成されています。厳密にいうと歯の表面と卵の表面は主成分が異なりますが、類似したカルシウムの一種ということで視覚的に実感できる実験として、あくまでも参考程度に捉えて頂けたらと思います。

➀卵にフッ素が塗布してある部分がわかるようにして、フッ素を塗布します。(今回はフッ素を全体に塗った卵、フッ素を半分塗布した卵を用意しました)

②ペーパータオル等で包み一晩(12時間)放置し、その後軽くふき取りコップに入れ、お酢を入れます。(卵全体が浸かるくらい)

のようにフッ素を塗布していない部分がお酢を入れてすぐに表面に細かい気泡がでできました。これはお酢()によって卵の殻からカルシウムが溶け出している状態です。

 

③さらに6時間放置した様子を見てみましょう。

フッ素を塗布していない部分は歯の絵が消え、のように殻が溶け浮かんできています。

 

④そして、お酢に浸けたから一日経過した卵の状態です。コップから取り出し、水で軽く流しました。白くなった部分の一部は柔らかくなり、すぐにヒビ割れてしまいました。

まさに“百聞は一見に如かず”ですね!!(こんなに分かりやすくできるとは思わなかったので、佐藤ホッとしております。笑)フッ素で完全に卵の殻の溶解を防いだわけではありませんでしたが、確かな効果はあったかと思います。反対に、部分的に卵の殻が剝がれていることから、フッ素を塗布したからと言って、むし歯にならないわけではないということも分かりましたね。フッ素塗布と併せて毎日の歯磨きで、むし歯菌の餌になるプラーク(歯垢)を除去していくことが大切です。

※冒頭でもお伝えしましたが、あくまでもフッ素の効果を分かりやすく実感できるための実験ですので歯はお酢に浸けても1日でドロドロに溶けることはありません。

【まとめ】

むし歯はお口の中が酸性になり、歯の表面が溶けて、弱くなった部分にむし歯菌が侵入してむし歯になる。それを予防するためにフッ素塗布を歯科医院で行い、歯の質を強化する。

フッ素塗布は永年的な処置ではない為、定期的に行う。

〇フッ素塗布だけでは、完全なむし歯予防にならない為、毎日の歯磨きもしっかり行う。

〇毎日の歯磨きで“フッ素入り歯磨き粉”を継続して使うこともむし歯予防に繋がる。

【補足】

今回は、歯科医院で行われている“フッ素塗布”おける効果のお話をさせていただきました。ご家庭では“フッ素塗布”をすることはできません。歯科医院で使用しているフッ化物ジェルというのは、非常に高濃度のフッ素が配合されているため、年齢によって塗布量の調整をしたりなど取り扱いに十分に注意しなければなりません。そのため、ご家庭でできるフッ化物の応用としては➀フッ素でのうがい、②フッ素入りの歯磨き粉・スプレーの使用に限られています。年齢に応じて方法や製品が異なってきますので、分からない時や疑問に感じた際は、来院時にスタッフにご相談くださいまた、歯科医院で受ける“フッ素塗布”はフッ素の活用法の中でも非常に効果が高い歯科予防処置と言われています。お子さん向けの処置と思われがちですが、すべての年齢でお勧めできる予防処置です。

このように当医院玄関には、歯に関する情報や医院情報を月12回程度ブラックボードにて掲示していますので、よろしかったらチェックしてみてください。

本編では、“フッ素塗布”の効果を実験しました。その準備過程で、➀ご家庭でも使えるいわゆる“フッ化物の応用”の製品では効果的なのか、②フッ素を塗布しない卵はお酢に浸け続けるとどうなるのか、ということも気になりましたので、実験してみました。(佐藤の好奇心の末なので、本格的な研究ではありません。あくまでも夏休みの自由研究を見るような温かいまなざしで見て頂けると幸いです。)

➀ご家庭でも使えるいわゆる“フッ化物の応用”の製品では効果的なのか?

今回は歯科医院などで購入できる製品を使用しました。

➀・②は本編でご紹介したフッ素塗布の卵です。

MIペースト(GC) ※フッ素ではありませんがリカルデントガムと同じ牛乳由来成分で歯の質を強化する製品です。

check-upフッ化ナトリウム洗口液

③、④共に5日間毎日、卵全体に塗布したのちにお酢に1日浸けました。

★結果

フッ素塗布程の効果は出ませんでしたが、かろうじて溶け切れていない部分があり、完全に柔らかくなってはいませんでした。そのことから、ご家庭で使用できる製品は、5(5)使用してだけでは、大きな効果は見られず、継続して使う必要があることが分かります。

 

②フッ素を塗布しない卵はお酢に浸け続けるとどうなるのか

4日間浸けました。殻が完全に溶け切って中の卵黄が透けて見えます。触ると弾力があり、ぷにぷにとした柔らかい感触です。大きさは、普通の卵と比較し、一回り大きくなっていました。(調べてみると、卵の殻が溶け、お酢を吸収したからとのことです。殻が溶けても割れない理由は、卵の内側に薄い膜があって、それはお酢では溶けない成分になっているそうです。)

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