歯茎にニキビのような物ができたことはありませんか?
歯科衛生士の茨木です。
いつの間にか歯茎にニキビのような物ができていて治らない…という方はいませんか?それは「サイナストラクト」と言い、日本語で「瘻孔(ろうこう)」と言います。
そこで、今回はサイナストラクトについてお話をしていきます。
【サイナストラクトとは?】
様々な原因により歯の根っこの先まで細菌感染が広がり、膿の袋である「根尖病巣」が作られます。その膿の出口のことをサイナストラクトと言います。
根尖病巣は慢性疾患なので症状はほとんどないという方もいます。その間サイナストラクトはできたり消えたりを繰り返しますが、根尖病巣が治ったわけではありません。「違和感がある」「歯が浮いた感じがする」と訴える方も多いです。そしてストレスなどが原因で疲れが溜まり免疫力が低下すると根尖病巣が大きくなり、歯茎が腫れて痛むことがあります。
歯茎にサイナストラクトができるとそこから膿が出るので口臭の原因にもなります。
【根尖病巣ができる原因】
①虫歯の進行や外傷により歯の神経が死んでしまった。
②歯ぎしりや食いしばり等で歯に負担がかかり、歯の根っこが割れてしまった。
③根管治療後の細菌の再感染などにより、細菌感染が根っこの先でおきた。
【当院でのサイナストラクトの対応】
●根管治療
虫歯の進行などが原因で神経が死んでしまい、歯の根っこまで細菌が広がっている場合、根っこの中を綺麗にする治療 (根管治療)を行います。ファイルと言われる細い器具を使い、汚染された根管内を清掃し、消毒を繰り返します。
しかし、奥歯の根管治療は解剖学的理由で難しいため、サイナストラクトができやすいとされています。その理由を挙げていきます。
①根っこが曲がっているためファイルが根っこの先まで届きにくい。
②根っこの本数が3~4本あるため、適切に全て行われないと根尖病巣ができることがある。
③木の枝のように細い根っこが無数にありファイルが通らないため薬での殺菌になる。
④奥歯になるほど術式としてファイルが入れにくい。
●歯茎の切開
根尖病巣が大きくなり強い痛みが出た場合、麻酔をしてから外側の歯茎を切開して膿を出す処置を行います。切開をすると黄色っぽい大量の膿が出ることがあります。膿が出ていけば内圧が下がり痛みが落ち着いていきます。
同時に抗生剤、必要であれば痛み止めの処方も行います。くれぐれもご自身で針のような物で潰し、膿を出さないようにしましょう。感染のリスクが上がってしまう可能性があります。
●定期検診での管理
当院では1~3か月ごとの定期検診を行っているので、歯の被せ物や根っこの状態によっては、定期検診でサイナストラクトの経過を診る場合もあります。再度被せ物を外し、根管治療を行う刺激で痛みが出てしまったり、何度も根っこに負担をかけることで根っこが割れてしまうなど、様々なリスクが伴うため、症状が強く出ていたり腫れたりもしていないのであれば、定期検診で経過を診ます。
その際は担当の歯科衛生士が責任を持って、症状が出ていないかの確認や、口腔内のクリーニングと共に腫れるリスクのある歯茎のポケット内洗浄も行います。
治療が必要であると判断した場合は、しっかり歯科医師に報告をし、治療を進めさせて頂きますのでご安心ください。
●抜歯
炎症がひどく根管治療の処置だけでは治せなかったり、根っこが割れてしまっていたりなど、保存することが困難な歯は最悪の場合抜歯します。
サイナストラクトに気付いた場合はそのままにせず、歯科医院で適切な治療を受けることをおすすめします。
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