こんにちは、歯科衛生士の林です。
今回は新型タバコについて書いていこうと思います。
近年は、喫煙されている方が減少傾向ではありますが、新型タバコを吸われている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
現在使用されている理由として、「紙タバコより身体に良さそう」や「煙で迷惑かけないため」、「友達や家族が使ってるから」「何となく」などで使われている方もいらっしゃるかもしれません。どのような違い、影響があるのか知っていただけたらと思います。
1、紙タバコと新型タバコの違い、新型タバコの種類や仕組みについて
新型タバコと紙タバコの大きな違いは、煙ではなく「水蒸気(エアロゾル)」を吸うことです。新型タバコは、電子タバコと加熱式タバコの2種類あります。
<電子タバコ>
タバコの葉を使わず、吸引気に香りのするリキッド(液体)などを入れ30~40℃で加熱し、気化させその蒸気を吸います。海外では、リキッドの中にニコチンを添加させることが合法なため入っていますが、日本ではニコチン入りは販売認可されていません。タバコの葉を使用していないため、「たばこ類似製品」とされています。
<加熱式タバコ>
タバコの葉を使用して、加熱した(温度は各メーカーにより異なります)ニコチンを含むエアロゾルを吸います。
製品の種類としては、IQOS(アイコス)、glo(グロー)、PloomTECH(プルームテック)の3つが有名です。タバコの葉を使用するので、「たばこ事業法」の規制対象品で、たばことして販売されています。
2、健康リスクについて
「喫煙と口腔内へのリスク」の豆知識でも書かれていますが、新型タバコでは健康リスクは少ないのでしょうか?
〈電子タバコ〉
ニコチンが含まれていないので、ニコチン依存の心配がなく無害に思われますが、リキッドに熱を加えて成分が分解される過程で、発がん性物質(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなど)が生じると報告があるそうです。また、急性肺障害など引き起こすなど報告されているそうです。
電子タバコは2010年代から流通しはじめたばかりで、今後どういった健康被害が出るか分からないそうです。
<加熱式タバコ>
加熱式タバコのパンフレットに「健康懸念物質を99%オフ」、「国際公衆衛生機関が優先する9つの有害性成分の量の低減率が約90%」、「有害性物質約90%オフ」など書かれてるのを見たことはありませんか?
この表記を読むと、紙巻きタバコより有害成分が減っているから、紙巻きタバコよりも病気になり難いと思った方もいるのではないでしょうか?これは言葉のトリックで、有害物質は減っていますが、「病気になるリスクが減る」とは書かれていないのです。
日本禁煙学会でも、1日わずか3本の喫煙でも、1日20本以上の喫煙に近い心臓病リスクがあるのだから、有害物質量が10分の1に減っても、病気の危険因子が減ることはないとのことです。
喫煙は、本数やニコチンの量より喫煙期間が問題だそうです。
3、周囲への健康被害について
WHO(世界保健機関)によると、電子タバコの呼出煙には、ニッケルやクロムのような重金属成分が含まれており、その濃度は紙巻きタバコの呼出煙より高いそうです。
加熱式タバコはニコチンの含有量は少ないものもありますが、呼出煙から有害物質を含むエアロゾルを吸って受動喫煙を起こす可能性があるそうです。
また、タールが含まれておらず、健康に害が少ないイメージや、煙が見えにくいため、周りの人が避けることが出来ず知らずのうちに受動喫煙をしてしまうことがあるそうです。
※受動喫煙は換気扇や、喫煙ルームで吸ったからなくなるものではなく、煙は本人の吐く息や指、髪、服などに付着し暫く残ります。それが少量づつ家族や周りの人の身体に入り長期間さらされることにより、健康被害に繋がります。
4、禁煙のために電子タバコや加熱式タバコの効果について
ニコチンを摂取すると幸せ、満足感など快楽のドーパミンが脳から過剰に放出されます。そして、ニコチンが切れると、集中力低下、イライラや、冷や汗、不安感、頭痛など離脱症状が出てきてしまい、ニコチンを摂取すると落ち着き、スッキリするようになり、ニコチンに依存していくそうです。
禁煙のため、紙タバコの本数を減らしたり、新型タバコも併用される方もいらっしゃるかもしれませんが、紙タバコをギリギリまで我慢して喫煙すると、乾いた土に水が染み込むような効きで、更にニコチン依存が強くなる可能性があるそうです。
新型タバコでは…
・電子タバコは仕草が喫煙と似ているので、喫煙習慣が抜けにくい
・加熱式タバコは、紙タバコと違い操作が簡単で電源を切れば自由なタイミングで喫煙を止めたり、吸ったりすることが出来るのと、ニコチンの量が少なく満足感が少ないため自然と喫煙回数が増える傾向があるそうです。
5、口腔内と新型タバコについて
新型タバコに変えたところ、歯肉に違和感を持つ方がいらっしゃいます。何が起きているのでしょうか?
新型タバコはタールがないというのが関係しています。タールは有害物質なのは間違いないですが、「炎症を抑える作用」や「抗ウイルス作用」という成分が入っています。つまり、元々歯周病があり、紙巻きたばこに含まれるタールで抑えていた歯周病症状が、新型タバコにすると歯周病症状が抑えられなくなり、症状が出てくることがあります。(禁煙成功者の方も起こります。)ですが、「だったら紙タバコにしよう」という事は辞めたほうが良いと思います。タールよりニコチンのほうが口腔内に悪影響を及ぼすためです。
やはりタバコと名前が付くものは、口腔内や全身を悪くしていくので「健康」・「健口」の観点から喫煙はお勧めできません。
6、禁煙した時の身体の変化について
身体の回復は、最後の1本の20分後から始まっています。口腔内も歯周治療とメインテナンスを行うことで良い状態を保てます。
禁煙に失敗した経験がある方は、意志が弱いとかではなく、脳など身体や心理的な習慣、喫煙ルームなど社会的な要因など様々です。禁煙を検討されている方は、禁煙外来など利用されることをお勧めします。
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