歯科助手の小林です。
当院の訪問歯科診療では、通常の歯科診療のみならず、噛んだり飲み込んだりするために必要な機能(摂食嚥下機能)の評価・リハビリを通した「食支援」も行っています。必要に応じて、「嚥下内視鏡」を用いて摂食嚥下機能の精査を行います
(当院の院長は、日本摂食嚥下リハビリテーション学会の嚥下認定士の資格を持っています。)
今回は、嚥下内視鏡検査について以下の4項目に分けて説明させていただきます
①検査対象となる方
②検査をする目的
③検査の実際
④食事形態の種類
①検査対象となる方
・摂食嚥下障害があり、誤嚥性肺炎のリスクが高い方
・現在の食事の形態の見直しが必要な方
飲食物を口に入れて、咀嚼し、飲み込んで食道へ送る動作を「摂食嚥下(せっしょくえんげ)」と言い、その一連の動作のいずれかに障害がある状態を「摂食嚥下障害」と言います。
摂食嚥下障害の原因は、神経疾患(パーキンソン病やALSなど)・脳梗塞・認知症・舌や喉などお口の中の手術後・加齢変化など様々です。
摂食嚥下障害の症状としては、食事中よくむせる・薬が飲み込みにくい・食べ物が喉に残る感じがする・よく熱を出し肺炎になりやすいなどがあげられます。これは、唾液や食物が気管に入ってしまう「誤嚥」によるものが多く、さらにそこに含まれる細菌が気管から肺に入り込む事で起きる「誤嚥性肺炎」を引き起こす可能性もあります。「誤嚥性肺炎」は高齢社会の日本では大きな問題となっております。
②検査をする目的
今現在、どのくらい物を噛めているのか、しっかり飲み込めているのかを確認し、誤嚥性肺炎を防ぎつつ安全に食事ができるよう、適切なアドバイスやサポートを行う事が目的です。
主に以下のチェックを行います。
・咽頭(のど)の働きや形状について、直接観察する。(唾液の貯留の有無。)
・飲み込みやすい食事の形態・食事時の姿勢・摂取方法を決める。
・誤嚥をしていないか確認する。
・食事後、咽頭に食べ物が残っていないか確認する。
③検査の実際
・先端の直径が3.4ミリの細い内視鏡カメラを鼻から入れ、鼻の奥に静止させて、喉の奥の様子を観察しながら普段の食事を少量食べていただきます。
・家や施設のベッドサイドで検査を行う事ができます。
・多少違和感や痛みを感じますが、表面麻酔を使用し、軽減させています。
●嚥下内視鏡
●内視鏡の先端(鼻に入る部分)
●実際の検査の様子
④食事形態の種類
検査の結果を踏まえ、その方に合わせた食事形態や食事環境、食事姿勢を決めさせていただきます。
食事形態には次のような種類があります。
【常食】
健康な人の食事。主食はご飯、主菜や副菜は普通の形状のまま。摂食嚥下機と消化吸収が正常な方の食事。
【軟飯(菜)食】
主食は柔らかいご飯やおかゆ。うどんは柔らかくし、カットする。柔かく煮る蒸すなど、油分や固い物を控えた食事。胃腸が弱い方や、咀嚼機能が低下した方向けの食事。
【一口大食】
食べ物を一口大にカットし、食べやすくした食事。
【きざみ食】
食べ物を5ミリ~10ミリほどに刻んで食べやすくし、咀嚼機能が低下した方が食べやすいようにした食事。
【ソフト食】
見た目は常食と変わらないが、舌で潰せる程度の固さで食塊になっているので飲み込みやすい。常食からきざみ、ペースト食と幅広い方々の利用できる食事。
【ペースト食】
主食など全てミキサーにかけ、ペースト状や液体状にしたもの。誤嚥を防ぐためにとろみ剤を使用。咀嚼機能と嚥下機能が低下した方向けの食事。
食事形態は病院や施設毎で呼び名が違ったり、対応できないものがある場合があります。なので、施設を移る際には、確認が必要です。
ご本人だけでなく、介護にあたり不安を感じているというご家族の方にも、より良い介助方法や食事についての指導も出来ますので、お気軽にご相談ください。
次回の歯の豆知識は・・・
歯周基本治療についてお伝えします。
お気軽にお問合せください
お電話でのご予約・お問合せはこちら
0258-32-0210
診療時間:9:30~13:00/14:30~18:00
※土曜は16:30まで
休診日:日曜・祝日