勤務医の大村です。今回は、顎関節症についてご紹介します。
顎関節症の代表的な症状は、
①あごが痛む
②口が開かない
③あごを動かすと音がする
の3つです。
そのため、硬い食べ物が噛めない、大きな食べ物が食べにくい、また、あごの音が煩わしいなどの症状が現れることがあります。では、なぜ、上記の3つの症状がでるのでしょうか?
②口が開かない
顎関節内部の関節円板という靭帯のような繊維性組織の位置がずれて、関節の動きを妨げている場合や、咀嚼筋の痛みのためにあごが動かせない場合があります。また、痛みのために口を大きく開けないで、使わないでいることで、顎関節や咀嚼筋の運動が制限されてしまうことがあります。
③あごを動かすと音がする
顎関節内部の関節円板がずれている時に、あごが動いた際に引っかかって音がすることや、顎関節を構成している骨の形が変化して、こすれあったような音がすることがあります。音はジャリジャリという砂がこすれるような音や、カクッという音がすることが多いと言われています。また、人によっては、大きく口を開けると、関節の前の突起を乗り越えることがあり、その際にガクンと音がすることもあります。
患者さんへの聞き取り(問診)、あごの動きの診査、あごや咀嚼筋の痛みの診査、レントゲン検査などを行い、顎関節症以外の同じような症状を呈する疾患を鑑別した上で診断を行います。ではこのような症状がある方にはどのような治療を行うのでしょうか。治療は、下記の4つを組み合わせて行います。
⑴生活指導
顎関節や咀嚼筋への負担を減らすため、硬い食品や長時間の咀嚼は避ける、頬杖をやめることや猫背などの姿勢をよくする、また、仕事中や休息時に上下の歯が接触していることに気が付いたら歯を離すようにする、そして、特に強い心理的な緊張を感じる環境があれば、それを改善し避けるなどです。
⑵運動療法
運動療法には、筋肉や靭帯などの柔軟性や伸張性を改善するストレッチや、関節へ直接アプローチして顎関節の動きを良くして開口量を増加させる下顎可動化訓練、また、疲れやすい筋肉を鍛えて耐久性を向上させる筋力増強訓練などがあります。いずれにしても、歯科医師の指導の上で行うことが大事です。
⑶アプライアンス療法(ナイトガード)
睡眠時のはぎしりやくいしばり(睡眠時ブラキシズム)時の咀嚼筋の緊張の緩和や、顎関節部への負荷の軽減を目的としています。当院でも診断に基づき必要があれば製作可能です。
⑷薬物療法
顎関節や咀嚼筋の痛みに対して、消炎鎮痛薬を用います。また、筋肉の緊張により顎関節に痛みが生じている場合もあり、その際は筋肉の緊張を和らげる薬を使用する場合もあります。基本的には決まった時間に、決まった期間服用します。症状に応じて、薬の種類や服用方法を調整します。
⑸マイオモニター(低周波治療器)
低周波治療器で筋肉の緊張を解し、筋肉の痛みを緩和します。顎関節部に症状がでた際は、単なる顎関節症ではなく、別の疾患によるもの(腫瘍や親知らずの炎症など)の可能性もありますので、自己判断せずに医療機関を受診されることをお勧めします。
顎関節症の重症度によって異なりますが、初期治療による症状の消失と機能の回復は、おおよそ1か月から3か月程度です。それでも改善しない場合、MRIなどの画像診断検査を含め、専門医のいる医療機関へ紹介させていただくこともあります。基本的には上記の適切な治療を行うことで徐々に良くなります。
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