衛生士の山田です。
朝起きた時、お口がネバネバする。口臭がきつい。口が乾いている。
そんな風に思っていらっしゃる方、意外と多いのではないでしょうか。
実は唾液にはとても大切な役割があるのです。
今回は唾液についてお話したいと思います。
唾液は、主に、耳下腺、顎下腺、舌下腺という3つの大きな唾液腺から、1日に1000~1500mlほど分泌されます
唾液の大半は水分によって構成されています。
99.5パーセントが水分で、残りの0.05パーセントは様々な効果をもたらす成分で成り立っています。
唾液の水分以外の成分は、大きく無機成分と有機成分の2つに分けることができます。
無機成分
ナトリウム、カリウム、炭酸水素、無機リン、カルシウム。
有機成分
アミラーゼ(酵素)、IgA(免疫物質)、ラクトフェリン(抗菌物質)、リゾチーム・ラクトペルオキシターゼ(酵素・抗菌物質)、ムチン(タンパク質)
唾液には、これだけ多様な物質が含まれているのです。ここからは、唾液によってもたらされる様々な作用について説明していきます。
《唾液の有効な作用》
➀抗菌作用
口内に侵入した細菌の活動を抑えています。(リゾチーム、ラクトペルオキシダーゼ、免疫グロブリン、ラクトフェリンなどの酵素・抗菌物質が唾液に含まれている)
②粘膜保護・潤滑作用
唾液が歯や口内粘膜を覆うことで、細菌による感染、歯の脱灰や摩耗を防いでくれます。また、お口が潤うことによって舌や喉の動きがなめらかになり、食事や会話がスムーズになります。
③洗浄作用
唾液には水分によって、細菌や食物残渣を洗い流す洗浄作用があります。
④消化作用
唾液中に含まれる消化酵素アミラーゼは、デンプンと反応して麦芽糖へ分解し、体内に吸収しやすくなります。よく噛むことで食べ物と混ざり、消化を助けています。
⑤緩衝作用
ほとんどの食べ物は、食べるとお口の中が酸性に傾きます。お口の中が酸性に傾くと歯が脱灰をおこし、むし歯初期症状になってしまいます。唾液には、口内のpHバランスが中性になるように調節する作用があります。唾液が口内のpHバランスを整えることで、歯の脱灰を防いでいます
⑥再石灰化作用
唾液は、食事によって一時的な脱灰状態となった歯のエナメル質の再石灰化を促してくれます。脱灰状態の進行を防ぎ、むし歯リスクを軽減しています。
◇唾液の分泌は、夜寝ているときに少なくなります。
夜間に口の中で細菌が繁殖しやすく、朝起きると、口の中がネバついたり、口臭が気になったりします。
就寝前にはより丁寧なケアをしていきましょう。
◇唾液の分泌量は、ストレスや疲れ、加齢、薬の副作用などで減少することもあります。
《対処法》
・食事の際にはよく噛むようにしましょう。
・梅干などのすっぱいものを食べると、唾液の分泌量が増えます。(食べすぎには注意です!)
・唾液腺のある場所を軽くマッサージしたり、舌を意識的に動かしてみましょう。
・口呼吸ではなく鼻呼吸を意識しましょう。(口腔乾燥を防ぎます)
・タバコやお酒を控えましょう。(刺激を減らします)
・こまめに水分補給をしましょう。
・ストレスをためないようにしましょう。
参考までに・・・
《唾液腺の疾患》
・唾液腺炎(だえきせんえん)・・・様々な原因で唾液腺に炎症が生じる
(細菌性・ウイルス性・アレルギー性・自己免疫性に分類)
・唾石症(だせきしょう)・・・唾液腺の中や導管の中に石(唾石)ができることによって生じる病気。ほとんどは顎下腺に生じます。
・シェーグレン症候群・・・口腔乾燥や眼の乾燥を主な症状とする自己免疫疾患
・唾液腺腫瘍・・・唾液腺に生ずる腫瘍(良性・悪性)
唾液の分泌を意識して過ごしている方は、少ないかと思います。
唾液は様々な影響により、身体の変化を知らせてくれます。乾燥状態が強かったり、反対に無意識に口から唾液があふれる場合もあります。
歯だけでなく、乾燥しやすい方、唾液が出にくい方、唾液を飲み込みにくい方、など、気になる方はぜひご相談していただければと思います。
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