糖尿病と歯周病の意外な関係
皆さんがよく耳にする糖尿病は、どんな病気かご存じですか?
糖尿病は、「血の中に糖が増えすぎる病気」です。
血液中の糖(ブドウ糖)は、通常すい臓から分泌されるインスリンというホルモンが分解してくれるが、これかうまくいかなくなっている状態のことです。
健康診断で「血糖値が高め」と言われたことはありませんか?
血糖値は、血液中に含まれるブドウ糖の濃度のことです。食事中の炭水化物などが消化吸収されブドウ糖となり血液に入ります。このため血糖値は健康な人でも食前と食後で変化します。通常であれば食後の値は、70~100mg/dlの範囲です。
一方、空腹になると血糖値が下がります。そうすると同じくすい臓のグルカゴンというホルモンの働きで血糖値を正常値に戻します。
【血糖値の基準値について】
他にもHbA1cという項目があります。
HbA1cは、過去1~2ヶ月前の血糖値を反映します。
【血糖コントロール目標値について】
糖尿病には、様々な種類や治療法があり、合併症もあります。
【糖尿病の合併症について】
実は歯周病は糖尿病の合併症の一つといわれるほど深い関係性があります。
1.歯周病と全身との関わり
歯周病が引き起こす全身疾患
①心筋梗塞・狭心症
②脳梗塞
③糖尿病
④誤嚥性肺炎
⑤メタボリックシンドローム
⑥早産・低体重児出産
⑦アルツハイマー型認知症
今回は「糖尿病」と「歯周病」についてお話します。
2.糖尿病が歯周病に与える影響
糖尿病になると細菌に対する抵抗力や組織の修復力が低下し、お口の中が乾燥することで歯周病を悪化させます。
・糖尿病だと歯周病に2倍かかりやすくなるといわれている。
・血糖のコントロールが悪いと歯周病がより重症化しやすい。
3.歯周病が糖尿病に与える影響
歯周病の炎症によって出血や膿を出している歯周ポケットからは、炎症に関連した化学物質が血管を経由して体中に放出されます。歯周ポケットから血流にのった炎症関連の化学物質は、体の中で血糖値を下げるインスリンの働きを弱めます。
そのため糖尿病が発生・進行しやすくなります。
★歯周病治療で血糖値が下がる!
最近では、歯周病と糖尿病は密接に関連していると言われており、歯周病の治療をすると血糖値コントロールが改善すると言われています。
ここでの「歯周病の治療」というのは、歯科医院で炎症の原因となっている歯石取り(スケーリング)と、患者さん自身が毎日行うブラッシング(セルフケア)によって歯肉の炎症をコントロールすることです。
4.大切なこと
糖尿病と診断される方は、年々多くなっています。世界では、6秒に1人の命を奪う糖尿病。日本でも増加傾向で国が定める重要疾患の一つです。
糖尿病と診断されている方もいますが、「糖尿病予備軍」の方も多くいらっしゃいます。少しでもお口や体調の変化があったら歯科医院の受診や、健康診断を受けることが大切です。
★こんな症状がある方は要注意
・過去、または現在糖尿病予備軍と診断された方
・多飲・多尿
・口乾
・肥満
・体重減少
定期的な口腔管理をし、お口の良い状態を維持し、より豊かな生活を送るようにしましょう。
★歯科からのお願い
①病状や主治医を教えてください。
糖尿病の方の外科処置は、医科の主治医との連絡を取りすすめます。状態によっては、先に医科で血糖のコントロールをしていただく必要があります。
②食事は、抜かずに来院してください。
食事をしないで来院されると、糖尿病の方は血糖の異常低下が起きるリスクとなるので、食事は抜かないようにお願いします。
③医科との連携をとれるように糖尿病連携手帳の持参をお願いします。
他にも様々な疾患の方がいらっしゃいます。
安心して、診療を受けていただけるように、問診やお薬手帳の確認を行っております。通院中に、体調やお薬が変わった場合、受付や担当の歯科医師、スタッフにお声がけください。