勤務医の大森です。
当院は移転に伴い、新たに三次元画像の撮影のできる歯科用CTを導入しました。
そこで、今回はエックス線写真の種類とそれによって何がわかるのか、また皆さんが気にされている被爆についてお話ししたいと思います。
歯科用エックス線装置の種類について
大きく3つに分けられます。
⒈ デンタルエックス線撮影
口の中に入れたフィルムに顔の外側からエックス線を照射して歯を撮影する装置です。アームの先端にエックス線管の入っているヘッドがあり、円筒状の筒(コーン)からエックス線が出てきます。
余分なところにX線が当たらないように直径6cm以下に絞られていますので他の部位の被爆は無視できるくらい少なくなっています。
⒉パノラマエックス線撮影
目の下から下顎の先までの顎全体を一度に撮影してしまうのがパノラマエックス線です。顔の周りでエックス線管とエックス線センサーを回転させながら撮影する装置で撮影します。装置が顔の周りを回りながら撮影しますので、眼鏡やネックレス、ヘアピンを外していただくのはこれらの物が他のところにも写ってしまうのを防ぐためです。
撮影へのご協力をお願いします。
⒊歯科用CT撮影
歯や顎、関節を三次元で撮影することができます。
体の軸に対して、横断面・矢状断面・冠状断面の他に立体像も基本画像として表示されるので一挙に診断範囲が広がります。歯科用CT撮影を実施することで、より安全・正確にインプラント埋入術や外科処置を行うことができます。
エックス線写真で何がわかるのか
➀歯冠という口の中に見える歯の部分、その中でも表面の硬い②エナメル質と歯の中の③象牙質、神経を含む④歯の根の部分、⑤歯槽骨という歯を支える顎の骨の状態がわかります。そして⑥歯の詰め物や⑦虫歯、⑧被せた冠の状態、⑨根の先に膿を持っているかどうかなどがわかります。これらは歯科治療のためにどうしても必要な情報です。当院では初診の際にエックス線写真を撮影し、お口の中の状態を担当医から説明させていただいております。
被爆について
エックス線は放射線の一種です。直接見たり、感じたりはできないのですが、私達の身の回りにたくさん飛び交っており、知らないうちにたくさんの放射線を浴びています。これらは自然放射線と呼ばれています。
誰でも一年間に平均2.4mSv(ミリシーベルト)程度の自然放射線を被爆しています。
1万2000mの高さを飛ぶ飛行機の中では地上にいる時と比べて100倍もの宇宙線を浴びています。1時間で約5μSv(マイクロシーベルト)浴びることになります。地上では1時間で約0.046μSvで1日に浴びる全ての自然放射線の量では6~7μSvです。
表1(下記)
各種撮影法で浴びる被爆量は表1のようになります。歯科での被爆は非常に少ないことがお分かりいただけると思います。また妊娠中のエックス線写真撮影に関して不安に思われる方もいらっしゃるかと思いますが、国際防護委員会(ICRP)でも診断目的のエックス線程度では胎児への影響は無視できると認めています。
被爆を避けるための鉛の入った防護エプロンもありますが、特にパノラマエックス線撮影時には鉛のエプロンを用いることで画像が乱されることがあり、必須でないとされています。また通常の撮影では体幹への被爆は着用の有無で変わりがないという研究結果もあり、当院でも特別な場合を除いて使用しておりません。当院のレントゲンはすべてデジタル化(高感度化)しており、患者さまの被爆を最小限にするよう、細心の注意を払っております。エックス線撮影は正確な診断のために必要ですので、ご理解をお願いいたします。
次回の歯の豆知識は、顎関節症についてお伝えします。
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