歯科助手の小林です。
皆さん、よく噛んでお食事していますか?
噛む(以下、咀嚼)回数を増やすことで様々な効果が得られます。
「具体的な効果」と「咀嚼回数を増やす工夫」についてご紹介します。
<唾液の分泌が増えることによるメリット>
① むし歯や歯周病の予防
食事をすると、歯は脱灰(歯が溶ける)し、脱灰した部分をまた元に戻す再石灰化を繰り返します。再石灰化は唾液の成分で起こります。
さらに、唾液には細菌感染を防ぐ効果もあります。
② ガンの予防
唾液に含まれるぺルオキシターゼという酵素が多く分泌され、食品の発がん性を抑えます。特に焦げてしまった食物などは発がん性物質が含まれており、体内で蓄積されるとガンになる可能性があります。その発がん性物質を体外へ排出してくれます。
③ 胃腸の働きを助ける
唾液に含まれるアミラーゼという酵素がご飯などのでんぷんを糖に変えます。これにより食物を消化しやすくして、胃腸の負担を減らすとともに、活動するために必要な栄養素を十分に吸収しやすくなります。
唾液の分泌作用が一番多く、長く続く味は、酸味よりうま味と言われています。
昆布やかつおだしなどうま味成分が多く含まれる食材を摂ることもおすすめです。
<顎が丈夫になる事のメリット>
① 顎の骨が発達することで、歯が生えるスペースがしっかり確保されるので、歯並びがよくなります。
② 口周りの筋肉や表情筋も鍛えられるので、口がしっかり開き、言葉の発音が良くなり、小顔効果も期待できます。
③ 顎などの筋肉の他に首、背中、胸の筋肉も刺激されるので体のバランスが安定し、運動能力が上がります。
<その他のメリット>
① 肥満・2型糖尿病の予防
肥満と2型糖尿病の原因の一つとして、「早食い」が挙げられます。
満腹中枢が刺激される前に、多くの食物を食べてしまいます。
※満腹中枢とは、脳の視床下部にある器官で、血糖値の上昇に反応して体に満腹感を伝えます。しかし、感知から伝達までは約15分かかると言われています。なので、早食いの方は、その間に過食してしまうのです。
時間をかけてよく咀嚼することで、適量で満腹になり、さらには内臓脂肪が燃焼しやすくなります。
② 脳の活性化
脳神経が刺激されて、脳の血流が良くなり、記憶力の向上や認知症の予防が期待できます。
③ 味覚が発達する
口や舌の粘膜が刺激され、粘膜の中にある味覚や触覚の細胞も刺激されるため、食物の本来の味をよく認識することができます。
《咀嚼回数を増やすための工夫》
理想は一口につき30回の咀嚼
まずは、15回、20回でも良いので、少しずつ意識して噛むことが大事です。
① 一口食べたら箸を置く。(早食いの防止。)
② ながら食いをしない。(噛むことに集中できず過食になる。)
③ 口に食物が入っている時に水分を摂らない。(よく噛まないで流し込んでしまう。)
④ 歯ごたえのあるものを選ぶ。(自然に咀嚼回数が増える。)
⑤ 「あ・り・が・と・う・ご・ざ・い・ま・す」と頭の中で3回言いながら噛む。(言葉は何でも良いです。)
以上のように、咀嚼回数を増やす事で得られるメリットはたくさんあります。
デメリットを敢えてあげるならば、食事の時間が長くなることでしょうか。
特に仕事や育児など、多忙な中で15分以上かけてゆっくり食事をすることは難しいという方も多いと思いますが、30分程度が適切な食事時間と言われていますので、ぜひ実践して頂ければと思います。
しっかり咀嚼するためには、日頃のお口のケアが重要です。
丈夫な歯を維持するために、定期的に歯科医院でメンテナンスを行い、ご自身に合ったセルフケアのアドバイスやむし歯や歯周病のチェックをしましょう。
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